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第六章・8
「私がこんなふうになってしまったのも、ルドーニのせいなのだ」
では、責任をとってもらわねばな、とヴァフィラはくすりと笑った。
このところ、誘われるたびに断ってきた。
情けないルドーニの顔が目に浮かぶ。
今夜は許せるのだ、と言えば、どんなに喜ぶだろう。
ちょうどいい具合に、ルドーニの姿が。
友人のグラフコスと一緒のようだ。
他人のいる前で、今夜どうかと誘うのは恥ずかしい。
だが、立ち去りかけたヴァフィラの耳に、聞き捨てならない言葉が入ってきた。
「お前、やたら顔色いいぞ。徹夜したくせに」
「いや~、すっきりしたからな。やっぱ、相当溜まってたんだよな~」
「たまには遊んで適度に抜いた方がいいぞ。ヴァフィラのためでもあるし」
「お前、いいこと言うね。ちょいと後ろめたいけどな」
ヴァフィラの眼が三角につり上がった。
朝帰り。
私がダメならと、女遊びを!
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