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第六章・29

 ハンカチをルドーニから受け取り、交代で彼のものを清めようとしたヴァフィラはふと手を止めた。 「汚れてしまったな。ハンカチ」 「あぁ、俺はいいよ。別に……」 「では、お前のものは私が口で舐めてきれいにしてあげよう」  とんでもない事を言いながら、ルドーニの脚の間に潜り込もうとするヴァフィラ。  ルドーニは慌てた。 「いや!? もう充分だから! 満足してるから!」 「ふふ。冗談だ」  ヴァフィラはサイドテーブルの引出しから、新しいハンカチを取り出した。  笑うヴァフィラ。  まったく、とルドーニはヴァフィラの頬に音を立てて短いキスをした。 「まったく、こんなにエッチになっちまって」 「私がこんなふうになってしまったのも、ルドーニのせいなのだ」  責任をとってもらわねばな、とヴァフィラは微笑んだ。 「だから、ずっと一緒にいてくれ。私は、お前でなくてはだめなんだ」  ルドーニの心は、ぱあっと晴れた。  この先、運命がどう転ぶか解からない。  それは、誰にも解からない。  だが今は、この瞬間は、確かにヴァフィラは俺のことだけを愛してくれているんだ。

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