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第七章・8
長椅子に身を投げ出し、クッションを頭から被った。
とりとめない思いが、心に渦巻く。
嫉妬。落胆。怒り。悲しみ。軽蔑。妬み。後悔。喪失。憎悪。孤独。憤慨。罵倒。
そして、いつの間にか眠りについてしまったヴァフィラが眼を覚ましたときには、窓から差し込む光は太陽のそれから月のものへと変わっていた。
「……フィラ。ヴァフィラ」
表戸を叩く音。
そして聞こえてくるのは。
ルドーニの声!
「ヴァフィちゃん、いる? いるなら開けてくれ~」
妙に間延びした、軽い口調がいまいましい。
長椅子に染み込ませたありとあらゆる思いを拾い上げ、ヴァフィは表戸へと駆け寄った。
「うるさい! 帰れ!」
「なッ、何!? 何、怒ってんの!?」
「黙れ! 貴様とはもう終わったのだ。馴れ馴れしく訪ねてくるな!」
「ううう嘘! 何で!? ちょ、待ってくれ。開けてくれ!」
「問答無用!」
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