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第七章・9

 ガチャガチャと激しく動く扉のノブを内から押さえて、ヴァフィラは冷え切った言葉を口にした。 「あの黒髪の女と仲良く過ごせばいいだろう。私はもう、用済みだな。さようなら、ルドーニ」  ぐいッ、と空間が捻れる感覚を覚えた。  気がつくと、あっという間にルドーニの姿が目の前に。    そうだ。こいつはテレポーテーションが使えるのだ。  こんな扉など、あっても無いに等しいのだ。 「ヴァフィラ、何か誤解してるみたいなんだけど」  情けない声だが、視線は痛いほど真剣に注がれてくる。  負けるもんかとヴァフィラは、ルドーニを睨み返した。

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