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第七章・10
まずはこいつをテーブルへ置かせてくれ、とルドーニは両手で抱えた平たい木箱を軽く掲げて見せた。
返事を待たずに、勝手知ったる部屋の奥へと進み、どんと木箱をテーブルに置く。
蓋を開けると、中からは次々と皿が出てきては並べられた。
おいしそうな匂い。
皿には料理が盛られていて、温かな湯気を立てていた。
「熱いうちに、食べない?」
「……」
「あの女は、俺の料理の先生。新しく俺の神殿付きになった巫女さんだよ」
ヴァフィラは、息を呑んだ。
ルドーニは、決して神殿に務める女性に手を出さないことを知っていたから。
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