144 / 459
第七章・12
ルドーニはいつもいろいろと料理を工夫しては、自分にふるまってくれる。
ヴァフィラは料理ができないわけでも苦手なわけでもなかったし、城下には食堂もあってそこへ行けば三食にありつける。
しかしルドーニはよく珍しい料理をこしらえては、ヴァフィラに食べさせていた。
おいしいおいしいと喜ぶその笑顔が見たいから、と手間隙惜しまず料理の腕を振るっていた。
「本日のメインは、魚料理。いい香りだろ?」
じっくりオーブンで焼かれた白身の魚からは、これまで味わったことの無い異国の香りがただよっていた。
一口食べると、鮮烈な辛さが口いっぱいに広がる。
辛い。だが、決してしつこくない上品な味だ。
辛さにも複雑な風味が奥深くからみあっており、さまざまなスパイスが使われていることがうかがえた。
「おいしい」
「ありがとう」
ともだちにシェアしよう!