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第八章・2

 誰だ、この子は。 「俺は、ルドーニ。君は?」  考えるより先に、自己紹介していた。  名前を知りたい、その背景を知りたい、いろんなことをたくさんたくさん聞いてみたい。  美しいその少女は、にこりともせず答えた。 「ヴァフィラ」  必要最小限の返事。  警戒心が伝わってくる。  それ以上近づくな、と暗黙のうちに訴えてくる。  ふと、その緊張が緩んだ。

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