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第八章・8

 すっかり目が覚めてしまった。  手持ち無沙汰になったルドーニは、台所へ向かいジャガイモをひとつ手にした。  泥はすでに、きれいに落とされている。  あいつと二人で、仲良くジャガイモ洗いしたってか!?  思い返せば、ヤツの背格好はニコルスに似ている気もする。  ヴァフィラをかばって命を落とした、大魔闘士・ニコルス。  ヴァフィラの心の中に、決して消えることのない星のように輝いている。    ある時は静かに。  そして、ある時はまぶしく。  その特別な存在に、ルドーニは敬意を払っていた。  愛するヴァフィラを、愛すべき存在に育て上げてくれたのだ。  嫉妬めいた感情はなく、ニコルスを抱えるヴァフィラを、そのまま丸ごと愛していた。  嫉妬などという下世話な感情を入り込ませてはいけない、神聖な領域を持つヴァフィラをそのまま丸ごと愛していた。

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