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第八章・10

 キッチンへ立つヴァフィラの傍に寄ると、今日はゆっくりしていてくれ、と笑顔が返ってきた。 「いつも私はお前に料理をふるまわれてばかりだろう? たまには私がお前をもてなしてあげたいんだ」 「俺が好きでやってるんだ。気ぃ遣わないでくれよ」  そうは言っても、ジャガイモを茹でるだけなのだ、と今度は照れ笑いが返ってきた。 「でも、穫れたての新ジャガを茹でてサワークリームで食べると、すごくおいしいんだ。ぜひ一度、お前にも食べてもらいたい」 「サワークリームは?」 「昨夜のうちに作って、氷室に寝かせてある。よかったら、取ってきてくれ」

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