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第九章・6
「紅茶、かぁ」
贅沢品ではあるが、このところ値段も下がり供給も安定している新しい庶民の嗜みだ。
以前はそれこそ、貴族しか口にできない飲み物だったが。
城下でも飲む者はいるが、やはり階級の高い神官や武官。それに上級魔闘士が中心だ。
まだまだハーブティーを飲んでいる者が大多数を占めている。
ナッカは、最近紅茶を喜んで求めるようになったディフェルの顔を思い浮かべた。
何かひとつくらい買って、プレゼントしてみようか。
そんな軽い気持ちで、店主の女性に声をかけた。
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