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第九章・11
解かったような、解からないような。
だが、紅茶の国とはまた粋な事を。
お礼を言って商品を受け取り、ナッカはディフェルの元へと戻った。
ちょうど彼も本を買い終えたところで、二人は揃って市場を後にすることにした。
その前に。
「俺、不思議な店で不思議な香料を買ったんだ。ディフェルも、ちょっと覗いて見なよ」
そう言って彼を先程の店へと連れて行ったナッカだったが、確かにあの店があった場所になぜか別の店がある。
「あれぇ!?」
店主の親父に尋ねると、彼は4時間も前からずっとここで煙草やパイプを売っているという。
まるで狐につままれたような気持ちで、ナッカはその場を後にした。
「夢でも見たんじゃないのか?」
「でも、買ったものはちゃんとここにあるわけだし!?」
まぁ、良い買い物ができたのだ。
ルドーニにもバラの香りを渡すことを忘れないようにしなければ、と思いながらナッカはディフェルと共に帰途についた。
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