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第九章・17
午後3時も回ったところで、本日のバラの手入れは終わり近くになっていた。
今日もまた、無事に作業が終了する。
そう一息ついたところでのルドーニの訪問は、ヴァフィラに喜びと安らぎを与えた。
「お疲れさん」
「ありがとう」
そう一言ねぎらってくれるだけで、疲れも淡雪のように溶けて消えてゆくようだ。
だがヴァフィラは、次の瞬間にはもう気を引き締めていた。
ルドーニも、駄目でもともとの気持ちでヴァフィラをお茶に誘ってみた。
返事はやはり芳しくなかったが、それでもこのバラの香料をプレゼントできるのだ。
少しでもヴァフィラの疲れを癒すことができる喜びを、ルドーニは久々に味わっていた。
しかもそこに、意外な声援が送られてきた。
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