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第九章・19
一緒にこうして、しかも二人きりになれるなんて久しぶりだ、とヴァフィラは内心ひどく喜んでいた。
しかし、あまりにもそれを露骨に表に出すことは、何だか大人げないような気がして、口数も少なく家路を歩いた。
だが、屋内にルドーニを招き入れると途端に胸が高鳴り、弾んだ仕草でふるまい始めた。
「お前とティータイムが楽しめるなんて、本当に久しぶりだ。さあ、椅子にかけてくつろいでくれ。お茶は何にする? ハーブティーもいいけれど、特別に紅茶を出そうか。お茶うけはあったかな。ルクーミでいいか?」
ヴァフィラのはしゃぎように、ルドーニはくすりと笑った後しみじみと喜びに浸った。
ヴァフィラ、疲れているだろうに、俺のためにこんなに気を遣ってくれて。
まぁまぁ、ゆっくりしておくのはお前さんの役目、とルドーニは不意打ちでヴァフィラの頬に軽くキスをした。
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