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第九章・22

「お待ちどおさま~♪」 「ありがとう、ルドーニ」  鮮やかな、赤に近い橙色。  ルドーニも、ずいぶんお茶を淹れるのが巧くなったものだと、ヴァフィラはにっこり微笑んだ。  そうさせてしまった責任の一端は、私にあるのだろうが。 「お、いい笑顔。さぁさぁ、飲んでみて」 「ずいぶん自信のあるような口ぶりだな。そんなに美味しいお茶が入ったのかな?」  うんうんと頷くルドーニの前で、ヴァフィラは一口紅茶を飲んだ。  ゆっくりカップから唇を放すと、ほぅ、とため息が出た。 「おいしい」  渋みがあまり強くなく、さっぱりした味わい。  働いた後の喉を潤すには、最高の味だ。    そんなヴァフィラを見ながら、ルドーニがさらに身を乗り出してきた。

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