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第九章・24
実はさ、とルドーニは自分も紅茶に口をつけながら話して聞かせた。
「その紅茶、香り付けの調味料というか、香料を入れたんだ。バラの匂いがするって聞いたんだけど、俺の使い方がまずかったのかなぁ?」
「そうなのか? 気づかなかったな」
言われて意識してもう一度飲んでみたが、やはり特別バラの香りは感じない。
でも、そんなひと工夫をして自分を喜ばせてくれるルドーニの優しさは、ヴァフィラの心に充分沁み入った。
「バラの匂いはしないが、とてもおいしいな。もう一杯くれないか?」
「了~解♪」
今度こそ、とルドーニは茶色の小瓶を取り出し、ヴァフィラの目の前で紅茶に入れて見せた。
自分のお茶にも、混ぜてみた。
しかしやっぱり、お茶にバラの香りが花開くことはなかった。
それでも、まるで子どものようにわくわくした心地で何かを試してみたり、笑ったりすることはずいぶん楽しく、ルドーニとヴァフィラは晴れやかな気分だった。
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