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第九章・27

「おい、大丈夫か。ヴァフィラ」  壁にすがりつき、そのままずるずると床に落ちてゆくヴァフィラ。  ルドーニは慌てて椅子から立ち上がると、彼のもとに駆けつけてその体を支えた。 「ダメ、だ。ルドーニ……ッ」  彼の腕が、体が、腰が、脚が触れてくる。  私の、この発情した体に密着してくる。  いけない。  そう思った時は、もう遅かった。 「は、あぁッ……んッ……」  首をそらせ、薄く瞼を閉じて悶えるヴァフィラの全身から、欲情の香りがする。  フェロモンが、立ち昇る。 「ヴァッ、ヴァフィラ!?」  ルドーニの声に、は、と我に帰ったヴァフィラは顔から火が出そうだった。  なんてことを!  私としたことが、なんてはしたない真似を!

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