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第九章・30

「ヴァフィラ、俺が欲しい? ん?」 「……」 「言葉、いらないから」 「……」  目を堅く瞑り、ヴァフィラはこくりと頷いた。  みるみる赤味を増してゆく頬がかわいい。  あぁ、もう何もかもくれてやる。  俺のすべてを、ヴァフィラ。お前に全部くれてやる。  ルドーニの言うように、すでに言葉はいらなかった。  二人、しっかりと抱き合い、唇を重ねた。  互いを貪り合うような、熱く激しいキスをした。

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