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第九章・33

 ちゅぷ、とヴァフィラはルドーニを口に咥え、彼がやるように舐め始めた。  静かな寝室だが、時折悶えるヴァフィラが起こすシーツの擦れる音がする。  そんなかそけき音に混じって、ぴちゃぴちゃと濡れた響きが続く。 「ん……。いいよ、ヴァフィラ。とってもいい気持ちだ……」  ヴァフィラをゆったりと愛撫しながら、ルドーニもまた深いため息をついた。    ルドーニとは違い、まるで余裕なく唇を、舌を動かすヴァフィラだったが、彼の口淫はこれが初めてではない。  しかも仕込んだのはルドーニ自身なのだ。  ツボはしっかりつかんでおり、敏感なその部分を必死で責めてくる。 「あ、やばい。ヴァフィちゃん、俺やばいかも」  思えば、浴室ですでに二度放っているヴァフィラと、まだ一度も吐いていないルドーニ。  どちらに分があるかといえば、ヴァフィラなのだ。 「オマケに、こんなに巧くなってるなんてよぅ。ヴァフィラ、ほかの誰かで練習した?」 「馬鹿を……言う、なッ!」  そう返しながらも、いやらしい口の動きはやめないのだ。  これはもう、ルドーニは降参してしまうことにした。

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