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第十章・2
こんなことは初めてだ。
しかも、今日は久々の二人そろっての外出。
ルドーニは立て込む任務をこなしながら、指折り数えてこの日を待っていたはずだ。
そして、それは私も同じ。
突然のキャンセルに、ヴァフィラは思わず問い直していた。
(なぜだ? 何か急用でもできたのか?)
(いや、用ってもんじゃあないんだけど。ごめん、この埋め合わせは必ずするから、ごめん)
それきり、途絶えてしまった。
どうしたのだろう。
いつもの軽い調子でこれをやられると、間違いなく憤慨しているところだ。
しかし、ルドーニの様子は、ちょっとおかしかった。
テレパシーとともに心の中に流れ込んでくるオーラは、どこか弱弱しい感さえあった。
何かあったのだろうか。
二週間ほど任務で城下の外へ出て、昨日帰ってきたばかりのはずだ。
まさか、負傷などして。
悪い憶測というものは、拡がり始めるととどまるところを知らない。
ヴァフィラはもう、彼が体中に包帯を巻いて臥せっているような心地で巨蟹宮へと走っていた。
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