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第十章・5

「案の定、闇の力でアスクレピオスの杖が封印されちまってて……でも、仕事はきっちりやってきたから、これ以上は……」  後は苦しそうに咳き込んでしまった。 「もういい、しゃべるな」  それなら私のできることを。  そう考え、ヴァフィラは動き始めた。  暖炉に火を入れ部屋を暖め、ルドーニの汗を拭いてやった。  寝室の床には、転がったワインの空き瓶が一本。  昨日からワイン以外は飲まず食わずの彼に水を飲ませ、滋養のあるスープを用意した。  氷室から氷を取り出し額を冷やしてやると、ようやく人心地ついたのか、ルドーニは眠りに落ちた。

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