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第十章・8

「ん……」  仰向けでキスしているので、いつもより甘えた心地になる。  ルドーニが熱い舌を絡めると、ヴァフィラもそれに応えてきてくれた。  久々のキス。  舌を絡めたまま、しばらく味わい合う。  やがてヴァフィラの舌はゆるりと踊ると、ルドーニから去っていった。  視線を交わし、微笑み合う。  こういうの、イイな。    冷え切っていた体は温められ、気味の悪かった汗は、ヴァフィラが拭ってくれた。  水を充分飲み、おいしいスープも口にした。 「なんか俺、調子戻ってきたかも」 「よかった」  にっこりと微笑むヴァフィラ。  そんな彼に、ルドーニは唇を突き出して見せた。 「もう一度キスしてくれると、完治する~」 「調子に乗るな」  だが、その声に嫌悪の色はない。  頼むよ、とねだるアヒル口のルドーニは滑稽だったが、ひどく可愛く見える。

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