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第十章・9
「もう一度だけだぞ?」
「ん~♪」
そっとヴァフィラの冷たい手が、ルドーニの頬に当てられた。
なんて心地いい。
ゆっくりと近づいてくる、ヴァフィラの唇。
ルドーニは、軽く眼を閉じた。
ガッ!
ヴァフィラの手が、突然ルドーニの顎にかかった。
間髪いれずに、粉末の薬が口の中にねじこまれてくる。
「ぶぐぁッ!」
苦い! やっぱり苦い!
思わず吐き出そうとしたルドーニだったが、その口はヴァフィラの唇で塞がれてしまった。
口移しで、注がれてくる水。
ルドーニは夢中でそれを飲み、薬を体内に流し込んだ。
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