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第十章・10
「げぼ、げほッ! ひどい、ヴァフィラ、ひどいッ!」
「もっと水を飲むか?」
ヴァフィラから水を受け取り、必死で飲んだ。
二杯、三杯、しまいには水差しに口をつけ、全てを飲み干した。
それでも舌の上に残った薬の味は消えない。
あぁ、あの時と同じ。
この後味に、あと三日はつき合わされるのだろう。
しょんぼりとしてしまったルドーニ。
拗ねた彼をくすりと笑うと、ヴァフィラはもう一度顔を近づけた。
「口直しだ」
重ねられる唇。
今度口の中に入ってきたのは、苦い薬ではなく甘いヴァフィラの舌だった。
強く擦り付け、奥まで忍び、咥内をゆったりと舐めまわす。
忌々しい薬の後味を、清めてくれる。
濡れた音を立て、熱いキスを交わした。
唇を離しては重ねあい、角度を変えて深く交わる。
舌を絡めあい、唾液を交わす。
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