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第十章・12
何もしないのに、食事が出てくる。
何もしないのに、食器が下げられる。
何もしないのに、暖炉の火が消えることが無い。
そして、時々キスしてもらえる。
ルドーニは床の中で幸せを噛みしめていた。
たまには、病気になるってぇのもいいもんだ。
そんな罰当たりな言葉さえ浮かんでくる。
せっかくのヴァフィラとのお出かけがおじゃんになってしまったが、その彼がわざわざやってきて看病してくれるのだ。インフルエンザ様様だ。
無理矢理苦い薬を飲まされはしたものの、おかげでひどい頭痛や喉の痛みは引いた。
もともと体力はある方だ。
明日には起き出せる気がするくらい、元気を取り戻しつつあった。
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