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第十章・22

 獣のような息を吐きながら、腰を動かした。  獣の自分を抑えるように、時折人語を話す。  ヴァフィラ。  ヴァフィラ。  ただひたすらに、愛しい人の名を叫ぶ。 「はッ、はッ、あ、はぁ、ヴァフィラ。はぁ、はぁ、ヴァフィラッ」  獣の声には、獣の叫びが返ってくる。  息を荒げ、声にならない声で呼んでくる。 「あぁ、あ、んぁ。ルドーニ。はッ、はぁ、あぁああ!」  ヴァフィラの両腕を後ろからつかんで引きながら、腰を穿った。  接合部が強く擦れ合う。  肌を叩く音が、激しく鳴る。  果てても、なお動いた。  飢えた獣のように、ただひたすら求めた。  求めあった。

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