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第十章・23

 柔らかな感触に、瞼をひらいた。  ふと離れ、また押しつけられる感触。  温かいキス。 「キスで目が覚めるなんて、最高」    キスをくれたヴァフィラに、口づけた。  軽く舌を絡め、名残惜しげに離れる。  ずっとこのままつながっていられればいいのに。  そうは言っても、とヴァフィラは困惑した表情を作った。 「覚えてないのか? 昨夜お前は、私に挿れたまま寝てしまったのだぞ?」 「え」  ぼんやりと、だがしっかりと記憶が戻ってきた。  そう、夜中に目が覚めて、隣にヴァフィラが寝ているものだからつい我慢できずに……。 「ごッごめん!」  まるでがむしゃらに求めた自分が思い出され、顔に血が上る。  耳まで真っ赤になって、平謝りに謝った。  寝てるところを弄り始めるなんて、とんでもないことを! 「なんか俺、正気じゃなかった。ホントにごめん!」 「いいんだ」  元気になってくれれば、それでいいんだとヴァフィラは頬を染めながら囁いた。

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