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第十章・24

 そういえば、昨日の具合の悪さはどこへやら。  身も心も、すっかりしゃんとなっている。 「ありがとう、ヴァフィラ。もう、大丈夫だ」 「よかった」  もう一度、口づけあった。  素肌が触れ合い、熱を与えあう。  互いの温度を、確かめあう。 「本当によかった。お前が動けなかったらどうしようかと思っていたのだ」  困ったような顔のヴァフィラは、そのまま困った声で訴えた。 「動けないのだ。その……昨夜、あまり激しかったものだから」  体中が痛く、重だるく、起き上がる気もしない、と。 「さぁ、起きてくれ。そしてまず、暖炉に火を入れてくれ。朝食は、オムレツが食べたいな。その前に、体を拭いてくれ。べたべたなのだ。お前のせいだぞ?」  途端にわがままを言いだすヴァフィラ。  あっけに取られながらも、嬉しかった。  そう、これが日常。  ありふれた、だが大切な毎日。  そんな当たり前のことが、改めて思い出された。  やっぱり、たまには病気になるってぇのもいいもんだ。  ルドーニは、床の中で幸せを噛みしめた。  

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