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第十一章・4

 報告を終えたルドーニは、さっそくヴァフィラ宅へと足を向けた。  今回は5日程度の短い出張ではあったが、愛しい人の顔を見ないで過ごした日々は、やはり味気ないものだった。  そして、彼の私室へと足を踏み入れたルドーニは、嬉しい驚きを味わった。 「おかえり、ルドーニ。お茶の準備ができているぞ」 「ありがとう、ヴァフィラ」  香ばしい焼き菓子の匂いに、芳しいハーブティーの香り。  胸いっぱいに吸い込んで、ヴァフィラの気遣いを喜んだ。 「お前は酒の方がよかったかな?」 「いや、さすがに昼間っから酒をかッ喰らうわけには」  冗談を言い交わしながら、テーブルに着く。  体を休めてハーブティーを飲むだけなら、どこででもできる。  だが、帰ってきたその時を見計らって、このタイミングでお茶を用意してくれているヴァフィラの気持ちが嬉しい。  ここまで自分の事を大切に考えてくれるようになったヴァフィラの心が、嬉しい。  ただ、一つだけ引っかかる点があった。  これまで、ヴァフィラの準備でお茶を楽しむことは何度もあったし、共に食事をする機会もいくらでもあった。  だが、ヴァフィラが徹底して絶対に行わないセッティングがあるのだ。

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