259 / 459
第十一章・9
しかし、どうしていつもオレンジ色のバラだったのか。
翌日、神殿を出て長い石段を降りながら、ルドーニはまだバラのことを考えていた。
バラ園には、オレンジのほかにも赤や白、黄色など美しいバラはいくらでも咲いているというのに。
「オレンジ色が、好きだったんかな」
それにしても、徹底しすぎている感がある。
まるで、わざとオレンジ色のバラを選んで飾っていたかのようだ。
オレンジ色のバラに、何か特別な意味があるのだろうか。
途中の神殿まで降りたところで、ふと同じ魔闘士のディフェルの事を思い出した。
読書家で物知りな彼ならば、オレンジ色のバラに秘められた謎を解けるかもしれない。
その足で、彼の私宅へと進んでいった。
いつ見ても本を開いているディフェルは、突然のルドーニの訪問にもやはり読書をしていた。
「オレンジ色のバラの謎、か」
ルドーニの言葉に知的好奇心を刺激されたディフェルは、読みかけの本にしおりを挟んで閉じた。
「もしかすると、その花の持つ意味が関係しているかもしれない」
「花の持つ意味?」
そうだ、とディフェルはルドーニに向き合った。
ともだちにシェアしよう!