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第十一章・12
「まさか本当に、お前がオレンジ色のバラの花言葉を知りたがる日が来ようとは」
どういうことだ、と今度はルドーニが目を円くしたが、そんな彼にイジェスは手にした本を差し出してきた。
「私に聞くより、本人に。ニコルスに教えてもらう方がよかろう」
「これは」
見ると、その本もまた花言葉の綴られた本だった。
しかし、この本ならルドーニも読んだものと同じだ。
これには、オレンジ色のバラの花言葉は書かれていなかった。
それに、ニコルス本人に教えてもらう、とはどういう意味だ?
「この本は、ニコルスが私に遺品として託したものだ。お前が、オレンジ色のバラの花言葉を知りたがった時に渡してほしい、とな」
ニコルスが、俺に。
まるで狐につままれているような心地だ。
あの人は、予知能力に長けた人だったっけか?
いや、覚えている限りでは、そんな風には見えなかったが。
頭の中でもつれる糸をまずは一本解こうと、ルドーニはバラのページを開いた。
バラほど多くの花言葉を持った植物はない。
その色、形によって、花の持つ意味がまるで違ってくるのだ。
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