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第十一章・15

 さて、後はお茶の準備だが。  食器棚……の下の開き戸を開け、木箱を引きずり出す。  蓋を開けると。 「やっぱり」  中には茶器が入っていた。  見覚えのある、青い花模様の入った茶器。  ニコルスが、生前愛用していたものだ。  ヴァフィラはニコルス亡き後、その周辺にあった彼馴染みの品々を全て丁寧に梱包し、思い出とともに封印していた。  遺品に対する人の想いは様々だ。  いつも手元に置き、その思い出とともに過ごすか、きちんと整理し保管することで、その思い出を胸の中にしまうか。  ヴァフィラは後者の方だ。  だが、敢えてルドーニはその思い出を再び陽の光の下へ持ち出した。  茶器を洗い、磨き上げた。  テーブルクロスも、記憶を手繰って似たようなものを準備している。  飲み物は、ニコルスが愛した紅茶。  ずいぶん値が張ったが、やはりここは無理をしてでも再現したい。  茶菓子はマカロン。

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