276 / 459

第十一章・26

 ルドーニは余韻を楽しむように少し腰を動かしてから、性器を引き抜いた。  苦しげに荒い息を吐き、震えるヴァフィラをしっかりと腕に抱きよせ、軽いキスを落とす。  乱れて顔に張り付いた髪を、梳いてやる。 「ルドーニ……」 「ん?」  何でもない、と声が出かかった。  言葉にするのは、恥ずかしい。  でも、今日また新しい顔を見せてくれたルドーニ。 『俺を家族の一員に加えてくれ』  口の端をゆるめ、微笑んだ。  小さくうなずき、そっと声に出した。 「……愛してる」  ヴァフィラを抱くルドーニの腕の力が、強くなった。  少し苦しいくらいだ。  でも、その苦しささえ愛おしく思いながら、ヴァフィラは満足げに眼を閉じた。

ともだちにシェアしよう!