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第十二章・5

 ヴァフィラ。  魔闘士候補生。  美しく気高い彼を一目見た時から、ルドーニの眼は、心は彼の姿を追うようになっていた。  時折、朝の礼拝の列に師匠のイジェスが並ぶ時、ルドーニは外で待つことがあった。  礼拝堂の外には、やはりその師であるニコルスを待つヴァフィラの姿が。 「よぅ。いい天気だな」 「……」  返事はない方が多かった。  それでも、話しかけている時だけは、この素敵な少年が自分のことを考えてくれるような気がして、ルドーニはいろいろと話題を振った。

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