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第十二章・16

「採りにいこうぜ、蜂蜜」 「だめだ。採取は来月だ。規則は破れない」 「だから、野生の蜂蜜を採りにいくんだよ。養蜂場の蜂蜜でなきゃ、OKだろ?」  留守番は放り出して、ルドーニはヴァフィラを連れてハチの巣へと向かった。  実は前から気になってた巣があるんだ、とルドーニは牧草地の中に入っていった。  牛や馬が日陰で憩えるように、広い草原の中に点々と植えられている木立。  その中にひときわ立派な古木があって、そのうろの中にミツバチが昔から巣をかけているという。 「これこれ、この巣。立派だろ? これなら少しくらい蜂蜜を分けてもらったって、蜂も許してくれるさ」 「そうだろうか。蜂が怒って、襲ってくるのでは?」  それにはちょいと仕掛けがいるな、とルドーニは持ってきた細い薪を束ねて、長い棒の先にくくりつけた。  マッチで火をつけると、しばらくおとなしかった薪は火が回って来たのかぱちぱちと音をたて、煙を吐き始めた。 「この煙で、蜂を動けなくしてから蜜をいただくんだ。俺が採ってくるから、ヴァフィラはこの棒を持っててくれよ」 「解かった」

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