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第十二章・21

「いや、面目ない。しかし、もうずいぶんいいんだ。それよりルドーニに、ありがとうとお礼を伝えて欲しい」 「ルドーニに?」 「彼が、私のために蜂蜜を採ってくれたらしいんだ。それを舐めたら元気が出てきた」  そこへ、ヴァフィラが手に皿を持ってやってきた。  炒られて湯気を出す蜂の子が、乗せてある。 「ニコルス先生、これも」 「……やはり、どうしても食べないといけないのかな」 「滋養があるそうです。食べて、早く元気になってください」  心配そうに顔を曇らせたヴァフィラに勧められると、食べないわけにはいかない。  ニコルスはイジェスに片目をつむると、こわごわ蜂の子をつまんで食べた。 「その……イジェス様」 「何だね、ヴァフィラ」 「私からも、その。ルドーニにありがとうと伝えてください」  承知した、とイジェスは笑った。  ルドーニの奴、きっと喜ぶだろう。  この蜂蜜も蜂の子も、ニコルスのためというよりヴァフィラのために採ったのだろうから。

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