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第十三章・8
「よ! 旦那。不景気な顔して、どうしたのさ♪」
軽やかなナッカの声に、木陰の芝生で昼寝をしていたルドーニは物憂げにゆっくり瞼を開いた。
「んぁ。なんだ、お前か」
「俺で悪かったな」
そう言うこの男は何だってこんなにゴキゲンなんだ、とルドーニは羨ましくなった。
自分が不景気な事には、訳がある。
そしてその訳は……。
「ほい、ルドーニ宛ての手紙。ヴァフィラからだよ~ん♪」
がば、とルドーニは跳ね起き、ナッカから手紙をひったくった。
封を開けると、ほのかによい香りが。
あぁ、ヴァフィラ……、と感極まろうとして、我に返った。
ニヤけたナッカが覗き込んでいるのだ。
「ね、やっぱり心配? ヴァフィラの事」
「し、心配に決まってるだろ。同僚なんだから」
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