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第十三章・10
「ただの同僚? ただの仲間? だったらどうしてルドーニにだけ手紙が来るのさ?」
「これは返事だ。俺の方から出したからな、手紙と見舞いの品をさ」
ふぅん、と勘繰るようなナッカの眼が、どこかエロい。
とにかくこれは、御礼の手紙。それ以上でもそれ以下でもない、とルドーニはこの話題を断ち切ろうとした。
しかしナッカは、スッポンの様に喰いついて離れない。
ヴァフィラの事を何かと気に掛けるルドーニを目にしながら、彼は何とかこの二人をくっつけたがっているのだ。
ルドーニの師匠・イジェス、そしてヴァフィラの師匠・ニコルス。
彼らも随分親しい仲だったという。
その弟子たちを、晴れて結ばせようじゃあないか、と自分一人で使命感に燃えている。
もちろんルドーニは、すでにヴァフィラとは友情をはるかに超えた深い愛情でひとつになっていることを、ナッカには打ち明けていない。
おしゃべりな彼に、そんな秘密を漏らしたりすればどうなるか。
たちまちのうちにサロランニ王国内はもちろんの事、近辺の国々、はては敵国にまで広く知れ渡る事だろう。
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