318 / 459

第十三章・

「かなり良くなったんだ。昨日まで寝室に籠っていたが、今日はこうやって椅子に腰かけてる。おかげでルドーニが来ることが解かって、良かったな」  言いたいことは、山ほどあった。  食事は? 水は? 薬は、風呂は、寝具は被服は?  だが、それはぐっと我慢した。  具合の良くない人間に、根掘り葉掘り訊くようなことじゃない。  それに、そんなに心配だったら、なぜ今の今まで放っておいた?   多少煙たがられようと、傍に居てやるべきじゃなかったか? 「どうした? ルドーニ」  お茶を淹れよう、と立ち上がるヴァフィラを慌てて止めた。 「俺が用意するよ。ごめんな、ヴァフィラ。どうしてもっと早く、お前の事を診に来なかったんだろう」  早口でそう言った。  少し、やつれて見えるヴァフィラ。  神殿の人間が世話を見てる、とは知っていたが、こいつをこんな風にしちまったのは、俺の責任だ。  全くもって、恋人失格だ!

ともだちにシェアしよう!