334 / 459

第十三章・29

「はい、ヴァフィちゃん。あ~ん♪」  朝食は、消化の良いリゾットにした。  柔らかく煮た魚介類も豊富に使って、栄養満点のアツアツに仕上げた。  ルドーニはそれを匙ですくって、ふうふう冷ましながら考えていた。 (ま、こんなコトしても無駄でしょうけどね~)  昨日は、ひどく乱れたヴァフィラ。  いくら禁欲生活が長かったとはいえ、あそこまで淫靡に狂おしく迫ってくれるとは♡  ただ彼の性格からして、今はそれを恥じているだろう。 『私としたことが、なんてふしだらな!』  そんな心の声が聞こえてきそうだ。  赤く染まった頬が、見えるかのようだ。  愛し合ったのは午後だったが、あの後さすがに疲れたのか愛しの恋人は昏々と眠り続けてしまった。  夕食も食べずに、だ。  ただ、ルドーニが傍に居た。  汗を拭き身体を清め、寝具を清潔なものと取り換えた。  口移しで水を与え、穏やかな香を焚いて安眠を促した。  まさに、寝ずの看病を続けたのだ。  それからの朝、である。  それからの『ヴァフィちゃん、あ~ん♪』である。

ともだちにシェアしよう!