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第十三章・30

「あ~ん♡」  そう言って口を開けたヴァフィラに、ルドーニは思わず匙を取り落すところだった。 「え? あ?」 「早く食べさせてくれ、ルドーニ。はい、あ~ん♪」 「あ、はい……」  おいしい、とヴァフィラが顔をほころばせるのは嬉しいが、一体これはどうした事か!?  絶対に『自分で食べる! よこせ!』と皿を奪いに来ると思っていたのに。 (ふふふ。ルドーニ、驚いているな)  二口、三口と食べさせてもらいながら、ヴァフィラはルドーニとは違う視点で昨日の自分を見ていた。  確かに、あんなに乱れた自分に呆れていた。  しかし、それと同時に、そんな淫らな自分を受け入れたのだ。  ルドーニのおかげで。 「ルドーニ、私は昨日で少し大人になったのだぞ。うなぎパイを食べたからかな?」 「どういう事? 確かに色っぽかったけど」 「お前と臥所を共にするようになって長いが……。もう一口」 「あ、はいはい」  ぱくり、とリゾットを含み、良く噛んで飲み込んだ後、ヴァフィラは続けた。

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