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第十四章・3

「……どうだ?」  ちゅぱ、ちゅぷという水音の合間に、ヴァフィラが密かに問うてくる。  その声すら催眠効果があるように、ルドーニの耳に心地よく入ってくる。 「ああ……、すごくイイぜ……」  本当に、美酒に酔ったよう。  そしてこの後は、二人でクライマックスに駆け上がるのだ。  濃厚で、身を絞られるようなエクスタシー。  時折、思考が霞む。 (バラの香りだ。いや、ヴァフィラの香りだ)  強い芳香に包まれて、すっかりヴァフィラに酔ってしまう。  性交より、彼に施されているという、愛されているという快感の方が強かった。  他のどんな女より、ヴァフィラに弄られる方が感じる。  身も心も、追い詰められてゆく。 「……ッふ」  思わず漏らした声に、ヴァフィラが反応した。  今までより、さらに熱を込めて舌が踊る。   ルドーニはひどく酔った頭で、ヴァフィラの髪を撫でた。  彼の足の間に顔を埋めた恋人の髪を、果てるまで撫でていた。

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