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第十四章・11

「じゃあ、ここはテストに出そうだから暗記しておくように」  一斉に、はい、と良い返事があがる。  ヴァフィラがドアの隙間から見た教室は、活気に満ちていた。  そして、その教壇の上に居るのは……。 「ナッカ」 「ん? ヴァフィラ?」  そこで講義終了の鐘が鳴り、生徒たちはそれぞれに講義室から出始めた。  ナッカも教科書を閉じ、ヴァフィラの元へと進んだ。 「何かあった?」 「いや、ルドーニが授業を抜け出したから。子どもたちはどうしてるかと思って」  心配で見に来たけれど、ナッカが先生をやってくれたのならよかった、とヴァフィラは笑顔になった。 「ああ! ルドーニの奴に会ったら言っといてよ。特別手当は俺がいただく、って!」 「でもまたどうして、彼はあんなことを?」  よく解からないけど、教科書のこの部分を生徒に読ませて血相を変えた、とナッカは教科書の一文を指し示した。

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