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第十四章・17

 悪戯を咎められたような、ばつの悪い笑顔がランプの灯に揺れる。  しかし咎められてもルドーニは、口での愛撫を止めないのだ。 「だ、ダメッ! あ、いや、だッ」 「嫌と言われれば、なおヤりたくなるねぇ」  じゅるん、と唾液をすすり、ルドーニの舌が踊る。  唇が、絶妙の締まりでヴァフィラをかきたててゆく。 「あ、いけない。出……ッ、放せぇえ!」 「出していいぜ。美味しくいただくよ」 「馬鹿ぁッ!」  まさか、果てる時の言葉が『馬鹿』とは。  ルドーニは不謹慎とは思いつつ、新鮮さを感じていた。  口の中に、ヴァフィラの味がいっぱいに広がる。  さらりとした、甘露が喉を通ってゆく。 「ごちそうさま♪」 「ホントに……、馬鹿だ……。お前は、大馬鹿者だ……」 「その大馬鹿者をちゃんと見て、ヴァフィラ。見ての通り、ぴんぴんしてる。死んじゃいねえ」  その言葉に、ヴァフィラはそろそろとルドーニの頬に手のひらを当てた。  温かい。  瞳を覗き込んだ。  光を宿している。

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