356 / 459
第十四章・17
悪戯を咎められたような、ばつの悪い笑顔がランプの灯に揺れる。
しかし咎められてもルドーニは、口での愛撫を止めないのだ。
「だ、ダメッ! あ、いや、だッ」
「嫌と言われれば、なおヤりたくなるねぇ」
じゅるん、と唾液をすすり、ルドーニの舌が踊る。
唇が、絶妙の締まりでヴァフィラをかきたててゆく。
「あ、いけない。出……ッ、放せぇえ!」
「出していいぜ。美味しくいただくよ」
「馬鹿ぁッ!」
まさか、果てる時の言葉が『馬鹿』とは。
ルドーニは不謹慎とは思いつつ、新鮮さを感じていた。
口の中に、ヴァフィラの味がいっぱいに広がる。
さらりとした、甘露が喉を通ってゆく。
「ごちそうさま♪」
「ホントに……、馬鹿だ……。お前は、大馬鹿者だ……」
「その大馬鹿者をちゃんと見て、ヴァフィラ。見ての通り、ぴんぴんしてる。死んじゃいねえ」
その言葉に、ヴァフィラはそろそろとルドーニの頬に手のひらを当てた。
温かい。
瞳を覗き込んだ。
光を宿している。
ともだちにシェアしよう!