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第十五章 唇から媚薬
終始無言で法皇・イジェスの説明を聞いていたルドーニは、話しが終わったところで大きく息を付いた。
「つまりヴァフィラは、この俺のことも何もかも忘れてしまった、ってこと?」
「自分が魔闘士であること以外は、全てを忘れてしまった」
「……何てこった」
ヴァフィラは、蠢動する敵国の討伐のため、とある島国へ渡っていた。
見事敵をあぶり出し殲滅させたはいいが、死の間際に悪あがきした一人の魔闘士が厄介な術をヴァフィラにかけてしまった。
「それが、今回の記憶喪失の顛末だ」
遅れて現地入りした同僚のディフェルが、任務が終わったはいいがどこへ帰還すればよいやら解からずにいたヴァフィラを連れて帰ってきた。
もちろんすぐに医療所へ直行だったが、彼の記憶に掛けられた呪いは誰にも解く事はできなかった。
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