371 / 459
第十五章・3
「ルドーニさん」
ヴァフィラの居る部屋へ入るなりのその一言に、ルドーニの心は一気に曇った。
「また『さん』なんて他人行儀な。ルドーニ、でいいっていったろ?」
「はい、ルドーニ」
「やりにくいなぁ、ったく」
ルドーニに対して、やたら素直でお上品になってしまったヴァフィラ。
それでも、他の連中に比べればましな方だと思う。
「今日は誰かと面会した?」
「……いいえ。せっかく来てくださったのに、会いませんでした」
この通り、魔闘士の仲間たちが見舞いに来ても、なかなか顔を合わせようとしない。
なぜだと問うと、苦しくなる、という。
ともだちにシェアしよう!