372 / 459

第十五章・4

「私を見ると皆、心配そうな顔をしたり、不安げな表情になったり。見舞いの仲間をそんな風にしてしまう自分が、申し訳なくて」 「俺は申し訳なくないの?」  そんなルドーニのニヤケ顔に、ヴァフィラは控えめな笑顔で答えた。 「ルドーニさん……ルドーニは、そんな顔しないから。ただ心配そうな、暗い顔にはならないから」 「ま、そうだけど」  それでも、この丁寧語には参っていた。  早く元のヴァフィラに戻って欲しいのは山々なのだが、焦ると却って彼を傷つける。  それに、元に戻る方法も解からない。  イジェスには、とにかく傍に居てやれ、と仰せつかっただけなのだ。

ともだちにシェアしよう!