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第十五章・5
「んじゃ、ま。豆の皮でも剥くか」
「手伝います」
「そんな時は、手伝おう、って言っていいんだよ」
「てッ、手伝おう」
実に素直なヴァフィラの反応に、ルドーニは笑った。
ルドーニが笑うと、ヴァフィラもつられて笑う。
その笑顔は紛れもなく彼のもので、ルドーニは切なくなってしまうのだ。
二人寄り添って、豆の皮を剥いた。
息がかかるほど近くに居るのに、ヴァフィラは全くルドーニを警戒しない。
(このままキスしても大丈夫かな)
ルドーニはそう考えて、ぐいとヴァフィラの体を抱き寄せた。
「?」
「キスしていい?」
「キス、って?」
「……ッ!」
豆を剥く事は覚えていても、キスは忘れちまってるのかーッ!
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