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第十五章・11

「ルドーニはいつまで私の家へ居るのかな」 「邪魔?」  邪魔ではないが、とヴァフィラは眼の前に並べられた豊かな食卓を眺めた。  こうやって美味しい食事を作ってくれるし、掃除や洗濯も手伝ってくれるし、文句のつけようがないのだ。  だが、と溜息をつく。  また無理矢理キスを迫られるとどうしよう、と考えてしまうのだ。  そしてその度、何か辛い事を思い出すのではないか、と怖いのだ。 「気になるんなら、明日法皇様の所へ行ってくる。そして、いつまでヴァフィラの元に居ればいいのか、指示を仰ぐよ。それでいい?」 「ありがとう」  そうと決まれば、食事はおいしく摂ろうや、とルドーニはサラダボウルから新鮮な野菜をヴァフィラの皿へよそってくれた。  食事中の話題は楽しいものばかり。  ヴァフィラは笑いながらも、ルドーニの気配りに感謝していた。  そして、そんな素敵な夕食が済んだ時、ルドーニは木製の小箱をテーブルの上に乗せた。

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