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第十五章・18
ところが我を忘れて乱れる中に、意識の底からぞっとする疑惑が湧いてきた。
(誰だ? 私を後ろから犯している男は。顔が見えない知らない人。知らない男が、私のことを犯している? 辱めている?)
その時、ヴァフィラの脳裏にある男の顔が浮かんだ。
漆黒の鎧に身を包んだ男。
死の間際に、おかしな技を放ってきた男。
(あの男に、私は穢されているのか!?)
「イヤだ! ルドーニ? ルドーニ!」
「どうした? ヴァフィラ!?」
「ルドーニ!」
果てながら、ヴァフィラはルドーニの名を叫び続けた。
背を反らし、髪を散らし、そしてどさりとベッドに身を投げ出した。
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