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第十六章・2
「外に、出ないか?」
「今から?」
風に当たって涼みたい、とヴァフィラは重だるい体を押して寝着を着た。
その行動にヴァフィラの本気を悟ったルドーニも、とりあえず下服だけ身につける。
二人、神殿のバラ園の方へ歩みを進める。
ヴァフィラに先導されるように、ルドーニはその少し後をついて歩いた。
月はなく、暗い夜道もまるで迷わずヴァフィラは歩いてゆく。
やがて開けた無数の花の咲き誇るバラ園のひとつへ、到着した。
「ここのバラが今、満開なんだ」
そう独り言のようにつぶやくと、ヴァフィラはそっと芝生の上に腰をおろした。
その隣に、ルドーニも座る。
座ってすぐに体を投げ出し、仰向けになって夜空を見上げた。
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